便利なものに囲まれている。
ボタンひとつで灯りがつき、
検索すれば答えが出て、
欲しいものは翌日届く。
不便は、できるだけ排除されてきた。
速く、正確に、簡単に。
それが当たり前になった。
でも、ふと思う。
不便というのは、本当に悪いものだろうか。
時間がかかること。
手間がかかること。
思い通りにいかないこと。
それらは確かに面倒だ。
できれば避けたい。
けれど、その面倒の中で、
人は少し考える。
少し工夫する。
少し立ち止まる。
手で豆を挽いてコーヒーを淹れる。
手書きで手紙を書く。
地図を見ながら歩く。
効率だけを考えれば、
もっと簡単な方法はいくらでもある。
それでも、あえて時間をかける。
あえて遠回りをする。
そこに、静かな豊かさがある。
不便は、余白をつくる。
急がない時間をつくる。
自分の感覚を取り戻す時間をつくる。
便利さの中で、
あえて不便を選ぶこと。
それはもう、贅沢なのかもしれない。
何でもすぐ手に入る時代だからこそ、
時間をかけるという選択は、
とてもぜいたくに感じる。
不便という贅沢。
それはきっと、
人間らしさを思い出すための時間なのだと思う。
0 件のコメント:
コメントを投稿