2026年2月8日日曜日

気づけばボタン一つで車のエンジンがかかるようになっていた

きがつけばボタン1つで、
車のエンジンがかかるようになっていた。

鍵を差し込んで、
少し力を入れて回す、
あの一瞬の感触は、
いつの間にか記憶の奥にしまわれている。

今はただ座って、
ブレーキを踏んで、
ボタンを押すだけ。

便利になったな、と思う。
でもその感想は、
昔みたいに大きな驚きではない。

「すごい」よりも、
「ああ、そうだったな」という
確認に近い気持ちで、
今日もエンジンは静かにかかる。

考えてみれば、
こういうことは車だけじゃない。

調べものも、
文章を書くことも、
誰かに聞くことさえ、
いつの間にかボタン一つになった。

手間は確実に減った。
時間も短くなった。

その分、
立ち止まることや、
考え込む時間も、
一緒に削られている気がする。

それが悪いとは言い切れない。
助かっているのは、
間違いない。

ただ、ときどき、
鍵を回していたあの一瞬みたいな、
小さな手応えが、
少しだけ恋しくなる夜がある。

便利になった世界の中で、
今日も私は、
何気なくボタンを押す。

それが当たり前になったことに、
気づかないまま。

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