駅の改札で、
降りる駅の金額を、
確認しなくてもよくなった。
路線図の前に立って、
小さな数字を探す。
ここから、
あそこまで、
いくらだったか。
そんなことを考える時間は、
いつの間にか消えていた。
今はただ、
改札を通って、
電車に乗る。
降りるときも、
金額を気にしない。
止められることもなく、
そのまま外へ出られる。
便利になったな、と思う。
それは、
とても静かな便利さだ。
昔は、
間違えないように、
少しだけ慎重だった。
遠い駅だと、
ちょっと緊張したり、
乗り換えを計算したり。
今はそういう感覚も、
ほとんど残っていない。
行き先は決めるけれど、
細かいことは、
考えなくてもいい。
楽になったし、
助かっている。
それは確かだ。
ただ、
あの数字を見上げていた時間が、
移動の準備だったような気もする。
日常から、
出かける気分へ。
今はその切り替えも、
改札と一緒に、
一瞬で終わる。
駅は今日も流れて、
私は何も確認しないまま、
目的地へ向かう。
便利になった世界は、
こうして、
考えなくていいことを、
少しずつ増やしていく。
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