2026年2月24日火曜日

待つ時間があった頃

昔は、待つことが当たり前だった。
電車が来るまでのホーム。
友達からの返事。
現像に出した写真が仕上がるまでの数日間。

すぐには手に入らなかった。
だからこそ、その時間が静かに流れていた。

今は、ほとんど待たなくていい。
メッセージはすぐ届き、
動画も映画も一瞬で再生される。
欲しいものも、翌日には玄関に届く。

便利になったなと思う。
効率もいいし、ストレスも少ない。
時間は確実に短縮されている。

でも、待つ時間があった頃、
心はもう少しゆっくりしていた気がする。

返事を待つあいだ、
相手のことを考えた。
写真を待つあいだ、
どんなふうに写っているか想像した。

待つという行為は、
ただの空白ではなかった。
そこには期待や不安や、
小さな物語があった。

今は、結果がすぐわかる。
早くて、正確で、無駄がない。

けれど、あの「間」はどこへ行ったのだろう。
少し不安で、少し楽しみで、
時間がゆっくり進むあの感覚。

待つ時間があった頃。
それは不便だったかもしれない。

でも、その不便の中で、
心はちゃんと動いていた気がする。

今の時代に、あえて待つ。
返信を急がず、すぐ検索せず、
少しだけ時間を置いてみる。

その静かな「間」の中に、
忘れかけていた何かが、
まだ残っているのかもしれない。

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