支払いって、
こんなに一瞬だったっけ、と思う。
財布を出す前に、
もう終わっている。
レジの前で、
小銭を探したり、
お札を伸ばしたり、
そういう動作は、
いつの間にか省略された。
今はただ、
画面を見て、
軽く触れるだけ。
「お願いします」と言う間もなく、
「ありがとうございました」が返ってくる。
便利になったな、と思う。
でもその便利さは、
実感する暇もなく、
次の動作に押し流されていく。
並んでいる時間も短くなって、
考えごとをする余裕も、
ほとんど残らない。
昔は、
支払うという行為そのものに、
少しだけ重さがあった気がする。
今は軽い。
驚くほど軽い。
それが悪いわけじゃない。
むしろ助かっている。
ただ、
あまりにも一瞬すぎて、
何かを終えた感覚だけが、
置き去りになることがある。
今日も支払いは一瞬で、
私はその速さに、
追いつかないまま、
次の場所へ向かう。
便利になった世界は、
立ち止まる理由を、
あまり与えてくれない。
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