昔は、夜に何かが欲しくなったら、
とりあえずコンビニへ向かった。
部屋着のまま、少し寒い空気の中を歩いて、
明るい光の中に入っていく。
今はどうだろう。
立ち上がる前に、手がスマホを探している。
ポケットや枕元にあるそれは、
コンビニよりもずっと近い。
飲み物も、日用品も、本も、映画も。
欲しいと思った瞬間に、指先で注文できる。
在庫を探す必要もないし、レジに並ぶこともない。
便利になったな、と素直に思う。
時間も体力も、ほとんど使わない。
外に出なくても、世界とつながっていられる。
でも、あの自動ドアの音や、
深夜の静かな街の匂いは、
少し遠くなった気がする。
コンビニへ行くという行為は、
買い物以上の何かだったのかもしれない。
外の空気を吸うこと、
知らない人とすれ違うこと、
ちょっとした気分転換。
スマホは確かに近い。
でも、近すぎるのかもしれない。
欲しいものはすぐ届く。
情報もすぐ手に入る。
だけど、自分の足で歩く時間は、
少しずつ減っている。
コンビニより近いスマホ。
それはこの時代の象徴だと思う。
それでもたまに、
意味もなく外に出て、
何も買わずに帰ってくる夜がある。
その遠回りが、
なぜか少しだけ、心を整えてくれる。
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