エレベーターって、
こんなに早かったっけ、と思った。
ボタンを押して、
少し待つつもりで立っていたら、
もう扉が開いている。
昔はもっと、
待っていた気がする。
表示灯がゆっくり動いて、
途中で止まったりして、
「まだか」と思う時間があった。
今は違う。
呼んだ瞬間に来て、
乗ったらすぐ動き出す。
便利になったな、と思う。
でもその便利さは、
わざわざ言葉にするほどでもなく、
当たり前として処理されてしまう。
待つ時間が短くなって、
ぼんやりする余裕も、
一緒に減った気がする。
スマホを見るほどの時間もなく、
ただ立ったまま、
目的の階へ運ばれていく。
考えごとをする前に、
もう到着してしまう。
早いのは、
間違いなく助かる。
でも、
あの何もしていなかった数十秒が、
実はけっこう、
大事な時間だったのかもしれない。
エレベーターは今日も早い。
私の気持ちを待たずに、
静かに扉が開く。
便利になった世界は、
たいてい、
こうやって音もなく進んでいく。
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