こんにちは。今日は「便利になった」の話を、実家のリビングから始めます。
先日、久しぶりに実家へ帰りました。ソファに座ってテレビをつけようとしたところ、テーブルの上にリモコンが並んでいたんです。数えてみると、全部で5つ。
テレビ本体のリモコン、レコーダーのリモコン、ケーブルテレビのリモコン、サウンドバーのリモコン、そして動画配信サービスを見るための小さなスティック型のリモコンです。
「どれを押したらテレビがつくん?」と聞くと、母は迷いなく一番端のリモコンを手に取りました。「これはこっち、それはあっち。順番があるのよ」とのこと。完全に母だけが知っている儀式です。
どうしてリモコンは増えるのか
笑って終わらせてもよかったのですが、せっかくなので真面目に考えてみました。
昔のテレビは、リモコン1つで完結していました。チャンネルを変えて、音量を上げ下げするだけです。それが、録画ができるようになり、衛星放送やケーブルが加わり、音にこだわるならスピーカーを足し、ネット動画も見たくなる。便利になるたびに、機器が1つ増えます。そして機器が増えるたびに、リモコンも1つ増えるんですよね。
つまりリモコンが増えるのは、暮らしが少しずつ便利になってきた証拠でもあります。1つ増えるごとに「これがあれば便利」という理由がちゃんとあって、その積み重ねがテーブルの上の5つなんだと思います。
便利の数だけ、覚えることが増える
ただ、ここに落とし穴があります。便利な機能が増えても、それを使いこなすための知識は、使う人が覚えなければなりません。
私にとっては「ちょっと面倒だな」くらいのことでも、親世代にとっては大きな負担になることがあります。どのボタンを押すと何が起きるのか、間違えたら元に戻せるのか、不安になりますよね。だから母は、決まった順番を守ります。それは頑固なのではなく、失敗しないための工夫なんだと気づきました。
便利なものが増えるほど、「いつもの手順」を守ることの価値も上がる。そう考えると、母の儀式は理にかなっているのかもしれません。
母の手順を、そっと助けてみた
そこで私は、リモコンを減らすことは諦めて、迷わないための工夫を考えました。
- リモコンの裏や横に、大きな文字で「テレビ」「録画」「音」などとシールを貼る
- 毎日使うリモコンだけを手前に置き、あまり使わないものはカゴにまとめる
- 電源を入れる順番を、紙に大きく書いて近くに置く
こうして並べ直しただけで、母の表情が少し軽くなったように見えました。「これなら間違えへんわ」と言って、嬉しそうに笑ってくれたんです。
最新の機器を買い替えるより、今ある便利を安心して使えるようにすることのほうが、ずっと大切なんだなと思いました。
便利は、使う人の隣にあってこそ
リモコン1つで完結していた時代は、たしかにシンプルでした。でも今は、5つのリモコンのおかげで、昔よりずっと多くの番組や音や映像を楽しめます。
ただし、その便利を本当に便利にするのは、機械そのものではなく、使う人が安心して触れる環境なんだと思います。
実家のテーブルに並んだ5つのリモコンは、暮らしが豊かになった足あとであり、同時に「誰かが少し手を貸してあげるタイミング」を教えてくれる合図でもありました。
皆さんの実家のリモコンは、今いくつありますか? 次に帰るときに、ちょっと数えてみると、意外な発見があるかもしれません。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ここまで読んで頂き、ありがとうございます
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